恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~
「……なんで、ここに」


「会って、抱きしめたくて、限界だったから」


匡が真顔でキッパリと言い切る。


「でも、匡には仕事が……」


「今の俺にとって恋人に会う時間より大事な仕事はない。眞玖は会いたくなかった?」


「……会いたかった」


小声で答えた私の腕を匡が軽く引っ張り、広い胸に抱き込む。

伝わる体温と聞こえる鼓動が温かくて嬉しくて、視界がゆらゆらと揺らぐ。


「だったら、ちゃんと言って」


「迷惑をかけたくない、から」


「眞玖が俺に望む事柄で迷惑なものはひとつもない。むしろ迷惑のひとつでもかけてほしいくらい」


困ったような口調に胸が軋む。

会えて泣きたくなるくらいに嬉しいのに、どこまで甘えていいのか、本音をぶつけていいのかやはり正解がわからない。

友人だった頃の私が本当の私の姿だと彼が思っていたら怖い。

あの頃の私は恋心を悟られないように、自立して仕事好きな女性像を必死で作っていたから。


「眞玖、顔色が悪いみたいだけど大丈夫?」


マンション前の外灯に照らされた私に、匡が尋ねる。


「へ、平気、今日は仕事が色々と立て込んでいていて」


五十嵐さんの件が頭をよぎったけれど、慌てて口をつぐむ。

今、ここで話す事柄じゃない。
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