隠れ御曹司の恋愛事情(改稿版)


「僕と彼女の関係を知りたいのであれば、それこそ調べることも可能でしょう?」
「それだと面白く……いや、なんでもない」
「そうだよ。玲兄の口から聞くことに意味があるんだよ! 約束したじゃん。話してくれるって!」


 本当にこの二人が結託するとろくなことがない。

「……もし僕が兄さんに話さないとなると、どうします?」
「それは……秘書に調べさせるが?」
「当たり前のように職権濫用しないでください」
「仕方ないだろう。話してくれないんだから」
「大丈夫。その時は私が玲兄の情報を将兄さんに伝えてあげるから! 代わりに調べた情報私にも見せてね」
「ああ、良いぞ」
「何も良くありません!」


 頭がズキズキと痛む。これは絶対に酒のせいじゃない。

「僕が秘密を打ち明けるのなら、兄さんの秘密も教えてください。そうじゃないとフェアじゃない」

 どうせ話さなければ、解放されないのだろう。なら、せめて。これくらい要求しても良いはずだ。


「……俺のことが知りたいのか?」
「意味深な台詞を吐かないでください」
「えー。私も将兄の秘密、聞きたーい!」
「なら、世羅も秘密を差し出せよ? 言っておくが、俺の秘密は高いぞ」

 不敵に笑った兄は機嫌良く、僕を流し見る。


「それにしても、玲も交渉が上手くなったなぁ。兄ちゃん嬉しいよ」
「気持ち悪い声で甘えてこないでください」

 こちらに擦り寄ろうとした兄の頭を押さえる。それにまんざらでもない様子で兄は頬を掻いた。


「それで玲は俺の何を知りたい」
「聞きたいことは決まっていますが、別に今度で構いません。ですが、絶対に答えてくださいね」
「ああ、分かった」

 鷹揚に頷いた兄に、世羅は「仲間はずれしないでよー」と頬を膨らませていた。
 兄はそれを軽くいなしながら、本題に入る。



「……それで、玲。彼女のどこが好きなんだ?」

 あからさまにワクワクとした目で見ないでほしい。そんなに期待されることではない。

「どこが、って。全部ですよ?」



 僕がそう答えると妹は「重!」と引いていた。
 これだから言いたくなかったのだ。

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