契約不倫~主人の子供を産んでもらえますか~
その時の笑顔が、私の心に残った。

「じゃあ、お疲れ様。」

私は、部長からなかなか離れられなかった。

でも、歩き出さなければいけない。

こんな気持ち、持ったらいけないんだ。

部長には、愛する奥様がいるのだから。


「失礼します。」

絞りだした言葉は、部長に芽生えた気持ちも、忘れる為だった。

そして私は、歩き出した。

しばらくして、後ろを振り返ると、部長の奥さんが迎えに来ていた。

運転席にいたのは、とても綺麗な人だった。

私は振り切るかのように、歩き続けた。


次の日。

私は部長の傘を持って、出勤した。

お礼ついでに、部長へのお弁当も用意した。

やりすぎだってわかっているけれど、どうしてもお礼の気持ちを伝えたかった。

「受け取ってくれるかな。」

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