契約不倫~主人の子供を産んでもらえますか~
きっと部長は、奥様のお手製弁当を持っているのだと思う。

それに、部下からのお弁当の差し入れだなんて、不審過ぎて普通は断るはずだ。

でも、どうしても受け取って欲しい。


そんな時だ。

部長がお昼休憩に出てしまった。

「えっ、今日早い。」

私は慌てて傘とお弁当を持って、部長を追いかけた。

「部長。」

廊下に出て呼び止めると、直ぐに振り返ってくれた。

「あの……昨日は傘、ありがとうございました。」

まずは、傘を差しだす。

「ああ、いつでもよかったのに。」

その優しそうな笑顔が、また私を優しくする。

「それで、これ……お礼のつもりです。」

思い切って、お弁当も差し出してみた。

「えっ?なに?」

「お弁当です。嫌だったら、断って下さい。」

ビニール袋に入れたランチパックのお弁当を、部長は受け取ってくれた。
< 4 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop