私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「俺はエルネットに、もっと好きになってもらいたい。俺だけを考え、俺だけを狂おしいほどに求めてほしいんだ」
「それは私のキャラが崩壊するから、無理かな……」
「明るい少女の裏に、見え隠れする狂気……。最高だ……」

 レオドールは脳裏に私の姿を象った理想の光景を思い描くと、仄暗い笑みを浮かべて私の首筋に噛みつく。

 どうやら、欲望が抑えきれなくなったようだ。

 ーーさっきまで大人しくしていたかと思えば、すぐこれだ。
 私はぶっ壊れかけている彼を正気に戻すべく、バタバタと四肢を動かして抵抗する。

「ちょ……っ。待った!」
「好きだ」
「それは何度も聞いた!」
「愛している」
「レオドール!」

 あいつの名を叫べば、ここにはいないアルベールに向けていた嫉妬の炎が薄れーー紫色の瞳が不思議そうに私を見下した。

「そんな、何も知らない無邪気な少年みたいに。純粋無垢な視線を……向けないでよ……」
「惚れてしまうからか」
「馬鹿」

 そこまでとは、いかないけど。
 私はやっぱりーー狂気に染まる彼の瞳よりも。
 屈託のない優しい笑みを浮かべる、憑き物が落ちた時に見せるような……。
 あどけない少年の姿が、好きだと思うから。

「嫉妬に狂ったあんたの姿は、嫌い」
「エルネットだけを見つめる、俺は?」

 ーー愛の言葉なんて、囁いてあげない。
 私は返事の代わりに彼の背中へ両腕を回すと、離れないように強く抱きしめた。
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