私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 わたしが天才魔術師としての才能を開花できなかったから。
 アルベール様は、愛想をつかしてしまったの?

 もっとわたしを見て。愛して。幸せにしてよ!
 こんなにもあなたを、想っているのに!

 どうしてこの思いは、あなたには届かないの……?

「ち、違うの。落ち着いて! マリンヌ。私達は、そう。あなたの引き――」
「誰が引き立て役だ。主役は俺達に、決まっているだろう」

 その原因がなんなのか。

 アルベール様のエスコートを受けて参加したデビュタントによってーーようやく、それを理解した。

 わたしとダンスを踊っているのに。
 彼の視線はいつだって、お姉さまに向けられていた。

 目の前に、わたしがいるのに!
 触れ合っているのは、わたしなのに!

 アルベール様の視線を追いかけたわたしは、すぐにわかった。
 彼の心はまだ、お姉さまに囚われたままなんだって……。

 悪役令嬢とは思えないほど無邪気に笑うお姉さまは、キラキラと光り輝いている。
 わたしからヒロインの座を奪って、黒魔術に手を汚す必要がなくなったのも大きいのだろう。
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