私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
 お姉さまの頃から、10年もずっと一緒にいたんだ。
 レオドールと僕。どちらか1人しか選べないのなら。

 エルネットは僕を選んでくれるーー。

 そんな傲慢な考えに支配されていたせいで、その選択が失敗だったと気づいて遅れを取ってしまった。

 ――夜会でレオドールと口喧嘩をしながらダンスを踊るエルネットの姿は、とても楽しそうだ。

 満面の笑顔なんて、僕は引き出せたことがなかったのに。

 このままじゃ、駄目だ。
 あの子が弟に奪われる。
 それだけは絶対に、嫌だ。

 ーーレオドールに同情なんかしなければよかったと思いを巡らせても、もう遅い。

 自分勝手にも程があると、重々承知している。
 弟だけではなく……。
 一ミリも愛していないのに婚約を結んだマリンヌまで、傷つけた。

 全部僕のせいだ。僕が最低だったから。
 みんな、苦しんでいる。

 ーーそれに気づいてもなお、諦めきれないほどに。
 君を愛していると自覚してしまったら、止まれないーー。
< 198 / 241 >

この作品をシェア

pagetop