私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「エルネット様。どうしたんですか、それ!?」
「ちょっと、ね。虫に噛まれて……」
「薬を塗ったほうがいいですよ!」
「あはは……。ありがとう。でも、大丈夫。治そうとしたって、意味ないから……」

 見かねた後輩が、痣をどうにかしたほうがいいと声をかけてくれたけど……。
 心配はいらないと断ったのには、理由がある。

 首筋が酷いことになってから、露骨に若い男から声をかけられる機会が減っているような気がするのだ。

 ――虫除けとは、よく言ったものだよね……。

 これさえあれば、誰かに言い寄られずに済むし……。
 レオドールも四六時中一緒にいなくとも、精神的に安定するようになった。

 ーー世の中、諦めも肝心だよね……。

「トヨシーハ公爵令嬢の婚約者って……」
「まだ若いのに、お盛んねぇ……」

 王城内を歩くたびに聞こえてくる下世話な話さえガンスルーすれば、黒魔術事件を解決に導くための捜査に集中できるのだ。

 ポジティブに考えれば、悪いことばかりではない。

 そう考えた私は堂々と首元の痣を曝け出し、普段通りの生活を送っていたんだけどーー。
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