私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「僕の隣で、笑ってくれないか」

 あまりにも、都合のいい話だ。
 私達が再び同じ道を歩むには、犠牲にする人達が多すぎる。

「冗談、だよね……?」
「僕は本気だ」

 優しくて、誠実で。
 誰かを思いやり、不幸な境遇に置かれている弟をいつも気にしていたはずの青年は、見る影もない。

 彼の瞳には、確かな覚悟が宿っていた。
 目の色は異なれど、奥底に抱く想いはレオドールとそっくりだ。

「愛している。レオドールではなく、僕を選んでほしい」

 さまざまな欲望が渦を巻き、緑色の瞳に浮かんでは消えていく。

「いや、そんなこと、言われたって……」

 はっきり無理だと、宣言すればいいだけだとわかっていても。
 レオドールに散々執着されたあとでは、目の前で同じことが起こるかもしれないと警戒するのは無理もなかった。

 ーーどうする?

 断るとは決めているけど、彼の中にも弟と同じような狂気が隠れしていたらと考えるだけでも恐ろしくて堪らない。

 ーー最悪の場合を想定して、動いたほうがいいよね……。
< 210 / 241 >

この作品をシェア

pagetop