私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「言葉だけでは信じられないのなら、態度で証明してやろう」
「い、いや。いい。わかった! もう、何も言わないから!」

 でもなぁ。想いを打ち明けたあとに心変わりをされて、傷つくのだけは絶対に嫌で……。
 結局自分のことしか考えていない私を、見透かしたのだろう。
 彼は繋いだ指先に力を込めると、顔を近づけてきた。

「ぎーやぁー!」
「奇声を上げるな。ムードもへったくれもない……」
「だから言ってんじゃん! そうやってすぐに貶してくるあんたが、私は……!」

 ーー嫌いだと叫んだ言葉は、最後まで声にならない。
 レオドールが私の唇を、塞いだからだ。

 ムードもへったくれもないのは、あんただって同じじゃん……。

 そう言いたくなる気持ちをぐっと堪え、触れ合った場所から伝わる熱に焼き焦がされぬように耐えた。

「好きの間違いだろう」
「話、聞いてた?」
「素直になれ」
「いや、だから……」

 もう、話が通じないなぁ。
 こんな男と結婚なんか、考えられないって思ってたのに……。
 熱を帯びた瞳で見つめられると、なんだか胸の奥底が、ムズムズするような……。
 今まで感じたことのない感情が湧き上がってくるような気がして……。
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