私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「そう言うのはちょっと、遠慮したいかなぁ、なんて……」
「なぜだ」
「だからさぁ……」
「はっきり言え」
「ーーあんたは私の、どこが好きなの?」

 二人に横槍を入れる恋の障害は、確かにいなくなったけどさ?
 重要なことを聞き忘れていると気づき、彼に問いかける。
 この返答しだいによっては、自らが胸に抱く気持ちを、素直に打ち明けようと考えながら……。

「……君だけは、俺に同情しなかった」
「そ、それだけ?」
「重要なことだ。皇太子になれなかった。かわいそうな第二王子と、蔑まなかっただろう。それに俺は、どれほど救われたか……」

 うーん。それって、別に私じゃなくてもよくない? そう言ってくれる女性だったら、誰でもよかったってことだよね?

 ーーほんとに、伝えてもいいのかな……。

 レオドールは、私を嫌っていなかった。
 何度も守ってくれた。
 それがすごく嬉しくて。
 危機が訪れると、彼の姿を思い浮かべるようになった時点でーー私がもう、戻れないところまで来ているのは明らかだった。
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