私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
「当たり前じゃん。まだ出会ったばかりだけど。私は一応、あいつの許嫁だから」

 名前も知らない男の子よりも、アルベールを優先するのは当然だと思うけど……。

「俺だって……」

 こいつにとって、私の解答は不正解だったみたいだ。

「俺にだって、貴様の許嫁になる権利があった。あいつさえいなければ。あいつが数分先に産まれたせいで。俺はいつだって、あいつの影……。スペアにしかなれない……」

 ブツブツと彼に対する呪詛のような言葉を吐き出した直後から、綺麗に透き通った銀色のオーラが、鈍色に怪しい光を放ち始める。

 ――これは明らかに、まずい傾向だった。

「ちょっと、大丈夫? なんか、変だよ。思い詰めてるって言うか……あんまりそれ、よくないんじゃ……」
「うるさい!」

 このままの状態で、黒魔術に秀でた人間に見つかりでもしたら……。いろいろと面倒なことになりそうだ。
 私は慌てて、彼を落ち着かせようとしたんだけど……。

「アルベールを愛する、貴様など嫌いだ!」

 その甲斐も虚しく。
 この少年は私の差し伸べた手を、勢いよく叩き落とした。
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