あざと泣き虫令嬢はサイコーな黒王子に歪んだ溺愛をされる

漆黒の眼

今は休憩時間。珍しい植物を集めたという学園の温室で、ルナアークの友人ウィリーは耳を疑った。

「可愛いんだ、リゼルアは!!」

漆黒の眼で興奮気味に断言するルナアークは、表情と感情が一致していないように見える。
確かに小動物の様で守ってあげたくなるような令嬢だが、ウィリーの好みとは違う。

「殿下にタイプなんてあったのか……」
「あんなに可愛く泣く令嬢は初めて見た。泣き顔が最高なんだ」
「はあ? 何それこわい!」

できるだけ不敬にならないように本心を伝えるウィリー。

「もっと見ていたいな」
「……」

テンションだけご機嫌なルナアークに、二の句が継げなくなった友人ウィリー。

今まで、散々令嬢を泣かせてきたのは、そういう趣味があったからだと知り、ウィリーはルナアークの特殊な性癖を垣間見た気がした。

先が思いやられる予感しかない。
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