孤高の弁護士は、無垢な彼女を手放さない
その日の夜。
玄関のドアを閉めた瞬間、紬の肩から力が抜け落ちた。
誰にも会いたくない、何も考えたくない。ただ、自分の殻に閉じこもりたかった。
リビングにカバンを放り投げ、ジャケットを脱ぎ捨てる。ブラウスのボタンを外す手は震えていた。乱雑に服を床へ落としながら、浴室へと向かう。
シャワーのノブを捻り、温度も確かめずに頭から浴びた。
熱い水が髪を伝って、背を流れる。けれど、寒気は止まらなかった。
岩崎に触れられたときの感覚が、ふいに脳裏をよぎる。
もう何度も洗い流したはずなのに、心のどこかに、あの気持ち悪さが、汚れのようにこびりついている。
シャワーの音が空間を満たす中で、紬の頬を伝った液体が何なのか、もう分からなかった。
涙だったのか、水だったのか。
ただ、あふれ出るものを止めることができなかった。
心と体がばらばらになりそうで、それを必死に繋ぎ止めるように、腕を自分の胸元で抱えた。
「……消えてしまえばいいのに」
そんな独り言が、蒸気に紛れて浴室に溶けた。
玄関のドアを閉めた瞬間、紬の肩から力が抜け落ちた。
誰にも会いたくない、何も考えたくない。ただ、自分の殻に閉じこもりたかった。
リビングにカバンを放り投げ、ジャケットを脱ぎ捨てる。ブラウスのボタンを外す手は震えていた。乱雑に服を床へ落としながら、浴室へと向かう。
シャワーのノブを捻り、温度も確かめずに頭から浴びた。
熱い水が髪を伝って、背を流れる。けれど、寒気は止まらなかった。
岩崎に触れられたときの感覚が、ふいに脳裏をよぎる。
もう何度も洗い流したはずなのに、心のどこかに、あの気持ち悪さが、汚れのようにこびりついている。
シャワーの音が空間を満たす中で、紬の頬を伝った液体が何なのか、もう分からなかった。
涙だったのか、水だったのか。
ただ、あふれ出るものを止めることができなかった。
心と体がばらばらになりそうで、それを必死に繋ぎ止めるように、腕を自分の胸元で抱えた。
「……消えてしまえばいいのに」
そんな独り言が、蒸気に紛れて浴室に溶けた。