旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
……君が、抱擁どころかキスまで受け入れてしまうのはなぜなのか。
仮にも離婚したいと考えてるんだろう違うのか、いや違うなら違うほうがいい、本当は今すぐ違うと言ってほしい、離婚届を渡したのは俺の気を引きたかったからだとでも言ってもらえたらどれほど――唇を啄みながら頭を過ぎるのは、そんな身勝手な考えばかりだ。
湯上がりの素顔をあっさり晒してくれるとも思っていなかった。
先日ベッドまで運んだときは、お互いそういうことを気にしていられるだけの余裕がなかった。だが今日は違う。拒みたいなら拒めたはずなのに、どうして君は拒まなかったんだ。
離婚したい男相手に、どうしてこんなに気を許してしまうんだ。
もし離婚を撤回してくれるなら、今度こそ君を守って、幸せにして、甘やかして俺があげられるもの、できること、全部君のために捧げてみせる――心からそう思っているのに、肝心の〝君のほしいもの〟が分からない。
どうしても他人に心を許せない。許した後に裏切られるのが怖い。
自分は昔からそういう性分だ。実母に捨てられた父のようになりたくないという気持ちも、きっと根底にある。
昔の上司の姪である君と結婚したのだって、君に心を許したいと思ったからではなかった。伴侶として都合がいいとか、あれだけの事情を伝えて断らなかったのは君だけだからとか、当初の自分はもっと利己的な目で君を見ていた。
それなのに。
仮にも離婚したいと考えてるんだろう違うのか、いや違うなら違うほうがいい、本当は今すぐ違うと言ってほしい、離婚届を渡したのは俺の気を引きたかったからだとでも言ってもらえたらどれほど――唇を啄みながら頭を過ぎるのは、そんな身勝手な考えばかりだ。
湯上がりの素顔をあっさり晒してくれるとも思っていなかった。
先日ベッドまで運んだときは、お互いそういうことを気にしていられるだけの余裕がなかった。だが今日は違う。拒みたいなら拒めたはずなのに、どうして君は拒まなかったんだ。
離婚したい男相手に、どうしてこんなに気を許してしまうんだ。
もし離婚を撤回してくれるなら、今度こそ君を守って、幸せにして、甘やかして俺があげられるもの、できること、全部君のために捧げてみせる――心からそう思っているのに、肝心の〝君のほしいもの〟が分からない。
どうしても他人に心を許せない。許した後に裏切られるのが怖い。
自分は昔からそういう性分だ。実母に捨てられた父のようになりたくないという気持ちも、きっと根底にある。
昔の上司の姪である君と結婚したのだって、君に心を許したいと思ったからではなかった。伴侶として都合がいいとか、あれだけの事情を伝えて断らなかったのは君だけだからとか、当初の自分はもっと利己的な目で君を見ていた。
それなのに。