旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
『叔父から聞いてないですか?』
婚約破棄に至った男のことを君が〝結婚相手〟と表現したとき、自分の話をされているのかと一瞬ぎょっとした。
確かに市条さんから『結婚に積極的な子ではない』と聞いていた。わざわざ深入りしてまで理由を訊くのもどうかと一年も思い続けてきた分、さっき君の話を聞いたときは、君を傷つけたその男に対して余計に腸が煮えくり返った。
だが、その屑のような男の話をしている間、君は傷ついている顔も怒っている顔も見せなかった。言葉の通りで、怒るタイミングを失くしてしまった、というのは君の正直な気持ちなのだろう。
その話を打ち明けられる程度には、今、君は俺を信頼してくれているのかもしれない。気を抜くとすぐにまた、そうやって自分に都合の良い考えばかり巡らせてしまう。
でも本心だ。
俺ならそんなつらい思いなんてさせない。
もう一度チャンスをもらえるなら、絶対に。
「……は、」
角度を変え、君の小さな唇を何度も啄む。
間違いなく、キスをする前に話すべきことがある。君が離婚したい理由、君が俺にしてほしいこと、今泣いている理由――なにも分からないくせにこういうことをするのは不誠実だ。
君が相手だと、俺はどんどん不誠実になっていく。君に、誠実さこそを理由に選んでもらった身でありながら、気づけば嫌われそうなことばかりしている。
婚約破棄に至った男のことを君が〝結婚相手〟と表現したとき、自分の話をされているのかと一瞬ぎょっとした。
確かに市条さんから『結婚に積極的な子ではない』と聞いていた。わざわざ深入りしてまで理由を訊くのもどうかと一年も思い続けてきた分、さっき君の話を聞いたときは、君を傷つけたその男に対して余計に腸が煮えくり返った。
だが、その屑のような男の話をしている間、君は傷ついている顔も怒っている顔も見せなかった。言葉の通りで、怒るタイミングを失くしてしまった、というのは君の正直な気持ちなのだろう。
その話を打ち明けられる程度には、今、君は俺を信頼してくれているのかもしれない。気を抜くとすぐにまた、そうやって自分に都合の良い考えばかり巡らせてしまう。
でも本心だ。
俺ならそんなつらい思いなんてさせない。
もう一度チャンスをもらえるなら、絶対に。
「……は、」
角度を変え、君の小さな唇を何度も啄む。
間違いなく、キスをする前に話すべきことがある。君が離婚したい理由、君が俺にしてほしいこと、今泣いている理由――なにも分からないくせにこういうことをするのは不誠実だ。
君が相手だと、俺はどんどん不誠実になっていく。君に、誠実さこそを理由に選んでもらった身でありながら、気づけば嫌われそうなことばかりしている。