旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
「お察しの通りです。今回に限った話ではなく、私、元々結婚に前向きな気持ちを持てずにおりまして……両親や叔父には心配をかけていますし、早く安心させてあげたいとは思うのですが」
話を聞いている限り、どうやら彼は私が顔に出しているつもりのない感情まで全部お見通しのようだ。職業柄なのかもしれない。叔父も、ときおりそういう目で私を見ることがある。
「私が相手の方に求めるのは、私に対して誠実であってほしいということくらいです。それも、能見さんのおっしゃる〝期待〟に入ってしまうでしょうか」
先ほどの風に吹かれて宙に散った梅の花びらが、ひら、と地面に落ちる。
窺うように尋ねながら、私はこのとき、叔父に抗議の電話を入れた日のことを思い返していた。
『ねぇ勝手にお見合いなんか進めないでよ、困るって!』
『じゃあ、薫子の譲れない条件はなんだ? 教えてくれ』
『いや〝じゃあ〟ってなに!? 話噛み合ってなくない!?』
訴えに対して論点のずれた質問を返してきた叔父に、もう今回の話はなかったことにはならないのだろうなと諦めた私は、たっぷり十秒は沈黙を落とした後、ぽつりと『誠実な人』とだけ答えた。
誠実ではなかった相手と破談になった当時の苦痛を、苦々しく思い返しながら。
話を聞いている限り、どうやら彼は私が顔に出しているつもりのない感情まで全部お見通しのようだ。職業柄なのかもしれない。叔父も、ときおりそういう目で私を見ることがある。
「私が相手の方に求めるのは、私に対して誠実であってほしいということくらいです。それも、能見さんのおっしゃる〝期待〟に入ってしまうでしょうか」
先ほどの風に吹かれて宙に散った梅の花びらが、ひら、と地面に落ちる。
窺うように尋ねながら、私はこのとき、叔父に抗議の電話を入れた日のことを思い返していた。
『ねぇ勝手にお見合いなんか進めないでよ、困るって!』
『じゃあ、薫子の譲れない条件はなんだ? 教えてくれ』
『いや〝じゃあ〟ってなに!? 話噛み合ってなくない!?』
訴えに対して論点のずれた質問を返してきた叔父に、もう今回の話はなかったことにはならないのだろうなと諦めた私は、たっぷり十秒は沈黙を落とした後、ぽつりと『誠実な人』とだけ答えた。
誠実ではなかった相手と破談になった当時の苦痛を、苦々しく思い返しながら。