旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
勤め先を退職し、新生活の支度もおおよそ整い、あとは挙式を控えるのみ。そうした状況で、私より先に激昂したのは両親だ。
父に至っては、碌でもない男を娘に引き合わせてしまった、と自分を責めるようにもなった。今日の席に父がいないのも、『あなたがいては縁起が悪い』と母が出席を許さなかったからだ。父は父で、当時の事態を今も重く受け止めていて、自ら同席を辞退したらしい。
身内の誰もが私を大切にしてくれている。申し訳なくなってくるほど。
結局、私は不貞を働いた男相手に怒りを覚えるタイミングすら逃したきり、ただただ結婚に夢を見ることができなくなってしまって今に至る。
『不貞を働かないという意味でしたら応えられます』
この人は今言いきった。応えられるかも、みたいに言葉を濁したりしなかった。
一切を取り繕おうとしないその姿勢に私が抱いたのは、嫌悪でも呆れでもなく、むしろ淡い好感だ。
愛情は期待しないでほしい、結婚に夢を見る気持ちはない、家に帰らない日も頻繁にある、仕事にしか関心がない――どれもこれも、マイナスの印象しか抱かせない話だった。
初対面のお見合い相手に、普通そういうことは言わない。印象が悪くならないよう、伝え方に打算を織り交ぜる人が大半だと思う。前向きに考えている縁談ならなおさらだ。
父に至っては、碌でもない男を娘に引き合わせてしまった、と自分を責めるようにもなった。今日の席に父がいないのも、『あなたがいては縁起が悪い』と母が出席を許さなかったからだ。父は父で、当時の事態を今も重く受け止めていて、自ら同席を辞退したらしい。
身内の誰もが私を大切にしてくれている。申し訳なくなってくるほど。
結局、私は不貞を働いた男相手に怒りを覚えるタイミングすら逃したきり、ただただ結婚に夢を見ることができなくなってしまって今に至る。
『不貞を働かないという意味でしたら応えられます』
この人は今言いきった。応えられるかも、みたいに言葉を濁したりしなかった。
一切を取り繕おうとしないその姿勢に私が抱いたのは、嫌悪でも呆れでもなく、むしろ淡い好感だ。
愛情は期待しないでほしい、結婚に夢を見る気持ちはない、家に帰らない日も頻繁にある、仕事にしか関心がない――どれもこれも、マイナスの印象しか抱かせない話だった。
初対面のお見合い相手に、普通そういうことは言わない。印象が悪くならないよう、伝え方に打算を織り交ぜる人が大半だと思う。前向きに考えている縁談ならなおさらだ。