旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
罪状が増えるだけだというのに、追い詰められて後のない容疑者は自暴自棄めいた手段を取りがちだ。比留川もその例に漏れないのかもしれない。
彼女の両親は比留川に露骨な制裁を加えてなお怒りを隠さなかったというが、薫子自身はむしろ彼らのその対応によって『怒るタイミングを失った』と明言していた。
つまり比留川は、薫子の秘めた怒りと傷を目の当たりにはしていない。最悪、まだ籠絡が可能だと踏んでいる可能性だってある。
――反吐が出る。
ひと通りの連絡が終わった直後、今度は薫子の母から電話が入った。『薫子から今電話があって』と告げる彼女の声は落ち着きがなく、また電話越しの雑音も多かった。
『比留川……ご存知ですか、あの子の昔の……あの男に連れて行かれたらしくて、あの、娘は車に乗せられてるみたいなんです、どうしたらッ!』
「大丈夫です。先ほど所轄の警察署に応援要請を出しました、自分もこれから向かいます」
別件の容疑者であることは伏せつつ状況を伝えると、義母は少し落ち着いたようだった。
薫子の端末から、わざと母親にだけかけさせたのかもしれない。今こちらからかけては、端末を取り上げられる要因になりかねない。
歯噛みしそうになった矢先、今度は部下から電話が入った。
彼女の両親は比留川に露骨な制裁を加えてなお怒りを隠さなかったというが、薫子自身はむしろ彼らのその対応によって『怒るタイミングを失った』と明言していた。
つまり比留川は、薫子の秘めた怒りと傷を目の当たりにはしていない。最悪、まだ籠絡が可能だと踏んでいる可能性だってある。
――反吐が出る。
ひと通りの連絡が終わった直後、今度は薫子の母から電話が入った。『薫子から今電話があって』と告げる彼女の声は落ち着きがなく、また電話越しの雑音も多かった。
『比留川……ご存知ですか、あの子の昔の……あの男に連れて行かれたらしくて、あの、娘は車に乗せられてるみたいなんです、どうしたらッ!』
「大丈夫です。先ほど所轄の警察署に応援要請を出しました、自分もこれから向かいます」
別件の容疑者であることは伏せつつ状況を伝えると、義母は少し落ち着いたようだった。
薫子の端末から、わざと母親にだけかけさせたのかもしれない。今こちらからかけては、端末を取り上げられる要因になりかねない。
歯噛みしそうになった矢先、今度は部下から電話が入った。