旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
 ――今日は、私たちの結婚記念日。

 こうなる気はしていた。予想できていた。
 自分自身に言い訳を繰り返しながらなんとか繋ぎ留めてきたけれど、いつかはこんなふうに心が折れてしまう日が来る、とも……それが今日なのかもしれない、とも。

 自分たちはこういう夫婦。
 それでいいと思ったからこそ選んだ道だ。でも。

『不貞を働かないという意味でしたら応えられます』
『本当にそれだけでいいのなら、ですが』

 和永さんは、間違いなく〝誠実〟な人だ。
 お見合いのときに伝えた私の条件を、彼は一度も違えていない。それなのに、私だけが一年前の気持ちのままではいられなくなっている。
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