旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
いかにもお嬢様らしいお嬢様だからと、結婚前から相応の覚悟はしていたが、拍子抜けしたまま空白まみれの結婚生活を送り続けておおよそ一年。
妻は慎ましやかで欲がない。もちろんトラブルの類とも無縁で、さらには当然のように仕事まで続けている。てっきり、結婚後は専業主婦になりたがるものとばかり考えていた。『不自由をさせるつもりはない』という言葉も、それでもいいという意味で伝えたのに。
彼女が結婚に消極的だという話は、市条さんから聞いていた。
何年か前に、まとまりかけていた結婚が破談になったとか……見合い当日の言動を見ていても、母親たちの勢いに呑まれている印象はあった。
そんな彼女が唯一提示してきたのが、〝誠実であってほしい〟という条件だ。
不貞を働かないという意味なら応じられます、と伝えたとき、見るからにほっとしていた。その表情が今もはっきり記憶に残っている。
誠実という言葉自体、意味が広い。
自分が約束したのは不貞を働かないことだけだが、彼女に不満を抱かせずにこの結婚生活を継続させたいあまり、今では当初の想定よりも遥かにいろいろ気を回している。激務の影響で直接は渡せなかったが、誕生日にはプレゼントも贈った。
今の生活を維持するために自分にできるのは、彼女の望む誠実な男であり続けることだけだ。
妻は慎ましやかで欲がない。もちろんトラブルの類とも無縁で、さらには当然のように仕事まで続けている。てっきり、結婚後は専業主婦になりたがるものとばかり考えていた。『不自由をさせるつもりはない』という言葉も、それでもいいという意味で伝えたのに。
彼女が結婚に消極的だという話は、市条さんから聞いていた。
何年か前に、まとまりかけていた結婚が破談になったとか……見合い当日の言動を見ていても、母親たちの勢いに呑まれている印象はあった。
そんな彼女が唯一提示してきたのが、〝誠実であってほしい〟という条件だ。
不貞を働かないという意味なら応じられます、と伝えたとき、見るからにほっとしていた。その表情が今もはっきり記憶に残っている。
誠実という言葉自体、意味が広い。
自分が約束したのは不貞を働かないことだけだが、彼女に不満を抱かせずにこの結婚生活を継続させたいあまり、今では当初の想定よりも遥かにいろいろ気を回している。激務の影響で直接は渡せなかったが、誕生日にはプレゼントも贈った。
今の生活を維持するために自分にできるのは、彼女の望む誠実な男であり続けることだけだ。