旦那様、離婚の覚悟を決めました~堅物警視正は不器用な溺愛で全力阻止して離さない~
現れた花束は、袋の中に入っていたときよりも大きく見えた。
赤、ピンク、くすんだオールドローズ。小さな花屋の、おそらく店中の薔薇を掻き集めて作られたのだろう、華やかな花束だ。
困惑に目を泳がせながらも、私は咄嗟にそれを受け取ってしまう。
手で受け取るというよりは、胸元に押しつけられると言ったほうが正しかった。反射的に落とさないようにと意識が働き、腕で受け止めたその瞬間、手首に彼の指が触れた。
「っ、あ……」
結婚以来、初めて直接肌に触れられ、受け取ったばかりの花束を危うく取り落としそうになる。
気づけば、腕と胸で花束を抱えたきり、私の両手は和永さんのそれに包み込まれていた。ごつごつした大きな手に、自分の手が全部包み込まれている。節の目立つ長い指が、目に焼きついて離れなくなる。
真剣な眼差しで私を射抜きながら、和永さんはさらに強く手を握ってくる。
熱い。指も視線も態度も、どれもすでに私の知る夫のそれではなかった。あまりにも必死すぎる。
ここ一年、私に関心らしい関心を示してこなかった彼とは、まるで別人だ。
「どうか俺に挽回のチャンスをくれないか。この通りだ」
あ、とまた細い声を零したきり、私は返事の言葉をすっかり見失ってしまった。
赤、ピンク、くすんだオールドローズ。小さな花屋の、おそらく店中の薔薇を掻き集めて作られたのだろう、華やかな花束だ。
困惑に目を泳がせながらも、私は咄嗟にそれを受け取ってしまう。
手で受け取るというよりは、胸元に押しつけられると言ったほうが正しかった。反射的に落とさないようにと意識が働き、腕で受け止めたその瞬間、手首に彼の指が触れた。
「っ、あ……」
結婚以来、初めて直接肌に触れられ、受け取ったばかりの花束を危うく取り落としそうになる。
気づけば、腕と胸で花束を抱えたきり、私の両手は和永さんのそれに包み込まれていた。ごつごつした大きな手に、自分の手が全部包み込まれている。節の目立つ長い指が、目に焼きついて離れなくなる。
真剣な眼差しで私を射抜きながら、和永さんはさらに強く手を握ってくる。
熱い。指も視線も態度も、どれもすでに私の知る夫のそれではなかった。あまりにも必死すぎる。
ここ一年、私に関心らしい関心を示してこなかった彼とは、まるで別人だ。
「どうか俺に挽回のチャンスをくれないか。この通りだ」
あ、とまた細い声を零したきり、私は返事の言葉をすっかり見失ってしまった。