君の声は痛みをほどく
初日だから、というのもあるのか響君は適度な距離感を保ってくれていた。
おかげで私もいつの間にか緊張が解けて軽く対話ができるようになっていた。
「千春ちゃんって頭いいんだね~今日の授業、早速助けてもらっちゃった」
「そんなことないよ。響君だって成績いいってよく聞くよ」
「俺はその場しのぎだからwそれに千春ちゃんって優しいんだね。もっと厳しいタイプだと思ってた」
「そんなこと思ってたの?私は当たり前のことしてるだけだよ」
「ギャップってやつだね~んじゃ、また明日ね。千春ちゃん」
「うん。またね」
教室を出た響君を目で追う。
帰るときは女の子と一緒じゃないんだ…
「ちはるんが他のクラスメイトとあんなに話すなんて珍しいじゃ~ん!!」
「くっそ~!俺千春より前だから現場見えねぇんだけど!!!」
「ドンマイだね奏汰!激レアな現場だったよ~」
気が付くと見慣れた顔がそばにいた。
しかも人がクラスメイトと話してるところを現場って…
「しかも相手は白河響!!!どうだったちはるん?!惚れた??」
「たまたま席が隣だったから話してくれただけだよ。別に惚れてないし」
「でもこれからだよね~!あいつ、相当の沼男だよ」
「さぁな。千春だって相当お堅い奴だろ?」
そんな感じで妄想を繰り広げながら帰る二人を後ろから追う。
私は恋なんてしない。もう苦い思いなんてしたくないんだ。
二人は私の過去を知ってる。
なんなら私が危なかった時一番そばにいてくれたのが二人だ。
『ちはるん可愛いんだし、もっといい人いっぱいいるよ!!』
『あいつがクズ過ぎただけだろ!!』
ずっと寄り添ってくれているのに"もう諦めた"なんて言えなくてずっと引きずっている。
この二人は優しすぎる。私にとって暖かすぎるんだ。
「じゃあ二人とも私こっちだから!!また明日ね!!」
「またね。美憂」
「じゃあな〜」
こちらに向けて大きく手を振りながら帰る美憂。
それに私と奏汰も少し手を振り返す。
「なぁ、千春」
「ん?」
「響とは上手くやれそうか、?」
「どしたの急に」
「いや、あいつ男だし、女子から超人気だし。たまに話す感じ悪いやつじゃないだろうけどよ」
「うーん。どうだろ。でもあっちも距離詰めてくる人じゃないから多分平気だよ」
「ならいいけど…なんかあったら俺でも美憂にでもすぐ言えよ」
「うん。ありがとう。じゃあ私こっちだから」
「おう。またな」
「また明日」