不器用な君のしぐさ

「うわぁ、、、凄い。これは、一人じゃ大変そうですもんね。」
「地味で地道な作業だ。」
「それギャグですか?」

わたしがそう言うと、司馬さんはわたしを睨み付け、デコピンをする指をし始めた。

「あー!やめてください!司馬さんのデコピン痛過ぎるんですから!」
「俺の特技は、デコピンくらいだからな。」
「え、特技がデコピン?」

と言った後にわたしは後悔し、何も言わなかったかのように「さて、シュレッターにかけなきゃ〜!」とテーブルの上から書類の束を手に取った。

「そういえば、社長ってこんなに毎日居ないものなんですか?」

ガガガガガッというシュレッターの音に声を掻き消されながら訊くと、司馬さんは「ほぼ毎日居ないよ。」と答えた。

「秘書課って、もう一人女の人居ましたよね?」
「あぁ、林さんな。林さんは、いつも社長に付き添ってるから、あの人もいつも居ない。」
「えっ?!じゃあ、いつも司馬さんはここで一人で仕事してるんですか?」
「まぁな。」

そう話しながら、秘書課にシュレッターが書類を刻んでいく音が響き渡る。

司馬さんは「林さんは、社長の愛人だから。」と言い出し、わたしは「えぇっ?!!」とシュレッターの音に負けないくらいくらいの声量で驚いてしまった。

「司馬さん、、、」
「ん?」
「何で、それをわたしに話してくれたんですか?」
「え、いや、、、清村なら、話しても問題ないかと思ったから。」
「それは、わたしを信用してくれてる、ってことですか?」

わたしがそう訊くと、司馬さんは少し考えた後「信用してなくもなくもなくもない。」と答えた。

「ん?信用してなくもなくもなくも、、、え?何回言いました?」
「わからん。テキトーに言ったから。」
「何ですか、それ〜!」

すると、司馬さんは無表情の中に再び微かな笑みを見せると「清村と話してると、退屈しないな。」と言ってくれ、その言葉に本気で喜んでしまったわたしは、逆に司馬さんに対して何も言い返すことが出来なかった。

わたしと話して退屈しないってことは、楽しいって捉えてもいいのかな?

そんなことを考えながら、わたしはひたすら書類をシュレッターにかけ続けたのだった。

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