不器用な君のしぐさ
「でも、司馬さんって、どうして誰とも関わろうとしないんですか?」
わたしがそう訊くと、司馬さんはチラッとわたしを見てからグラスを手にして、烏龍茶を一口飲んだ。
「会社には仕事をしに行ってるだけで、仲良しこよしをしに行っているわけじゃない。」
「それは同感です。でも、それにしても、、、避けてますよね?あんなにモテモテなのに。」
「あれは、ただ面倒なだけだからだ。」
「あ、モテてる自覚はあるんですね。」
わたしがそう言うと、司馬さんがデコピンをしようとしてきたので、わたしは身を引き両手で額を隠した。
「わたし、司馬さんってコミュニケーションが苦手な人だと思ってたんです。でも、ちゃんと戸張さんというご友人がいるし、こうしてわたしと話してくれるし、人と話すのが嫌いなわけではないんですよね?」
わたしの言葉に耳を傾けながらも、冷しゃぶサラダに口をつけ、箸を置く司馬さん。
すると、司馬さんは両腕をテーブルの上に腕を組むように乗せた。
「俺は、人を信じられないからだ。」
その言葉に重みがあって、きっと過去に何かがあったんだと思わせるような言い方だった。
「昔、、、親にも、友達だと思ってた奴にも、女にも、裏切れたことがある。だから、誰かと親しくする必要がない。それだけだよ。」
司馬さんはそう言うと、再び箸を持ち、冷しゃぶサラダを食べ始めた。
すると、「お待たせー!」と戸張さんが唐揚げを運んで来てくれた。
それから「こいつ、昔はこんなんじゃなかったんだよ?」と戸張さんが暴露し始めたのだ。