不器用な君のしぐさ
「おい!戸張!」
司馬さんは慌てた様子で戸張さんを止めようとしたが、戸張さんは「紗和ちゃんになら良いじゃん!」と言ったあと、わたしに「ね?」と親指を立て、ニコリと笑った。
「はい!誰にも言いません!」
わたしがそう言うと、司馬さんは諦めた様子で顔を逸らせた。
「一颯さ、今はこんなんだけど、昔はもっと明るかったんだよ。」
「え?!司馬さんが?!明るい?!、、、想像できない。」
「だろ?まぁ、でもこうなっちまったのは、それなりの理由があってさ。仕方ないんだ。」
それなりの理由、、、
そこはかなり気になったが、プライベートな話だし、無理に聞かない方がいいよね。
すると、司馬さんが突然「俺は、捨てられたんだ。」と言い出した。
「捨てられた、、、?」
「親に。父親は借金作って姿を暗まして、母親は男作って帰って来なくなった。」
突然のあまりに酷い生活状態だったことを聞き、言葉が出てこないわたし。
それでも司馬さんは話を続けた。
「友達だと思ってた奴には、学校で無くなった財布を盗んだ濡れ衣を着せられたし、23から付き合ってた女には浮気された。俺は結婚まで考えて付き合ってたけど、相手はただの遊びだったみたいだ。それから彼女はつくってない。」
司馬さんはそこまで話すと、「これで満足か?」と言った。
わたしはそんなツラい過去を言わせてしまったことに申し訳なくなってしまい、箸を置くと、「すいません。」と司馬さんに謝った。
「えっ?何で清村が謝るんだよ。」
「だって、、、そんなツラい話、、、させてしまって、、、。思い出したくないことじゃないですか。と言っても、思い出す、思い出さないとかの問題じゃないですよね、、、。心の傷なんて、、、そんな簡単に消えるわけないですから。」
わたしがそう言うと、そばで聞いていた戸張さんが「やっぱり。紗和ちゃんなら大丈夫だって言っただろ?」と司馬さんに言っていた。
司馬さんは微かに笑うと「そうだな。」と言い、唐揚げを一つ皿に取り、「清村も食えよ。ここの唐揚げ旨いから。」と言ったのだった。