宇宙で、推しとウエディング!?
「なんでも計算でこなせてしまう、アンドロイドたちの、機械仕掛けの人生のなかで、唯一、おもしろさを見出した娯楽らしい。砂丘アート、だそうだ」
「……砂丘アート?」
 見ればわかる、とばかりにサカエくんはアンドロイドたちの方を指さした。
 アンドロイドたちは、自分たちの手や足のパーツを、様々なパーツに取りかえている。
 スコップやハケ。ドライバーやノミ、カンナ。
 ノコギリ、ピッケル。
 なんだか、大掛かりなものを着けているみたいだけど、こんなので砂像なんて作れるのかな。
 これじゃあ、せっかく作ったものを壊しちゃいそうだけど。
「アンドロイドたちは、あの道具を使って砂像作りにチャレンジし、それで毎回うまくいかないことを楽しんでいる」
「わかってて、やってるってこと?」
「あの繊細さをかいた道具で、どこまで砂像をイメージ通りにできるのか。それで、自分たちの性能の良さに挑戦しているらしい」
「……ふ、ふうーん」
 まだ、わたしには、よくわかんない世界かも?
「ん? いたな。花嫁候補だ」
「え!?」
 アンドロイドたちの砂丘アートチャレンジにボーゼンとしているうちに、花嫁候補が見つかっちゃった!
 どうしよう…!
 めっちゃかわいいアンドロイドの子だったら…! 
 しかし、サカエくんが連れて来たアンドロイドの子に、わたしは目を丸くした。
「彼女が第一花嫁候補。クラシカル星雲・小惑星チロル。恒星ラビット暦十万年型、ホーロー性レトロ型アンドロイド・ポピーだ」
「この子が……」
「そうだ。俺たち人間と同じように、感情もある、優れた性能のアンドロイドだ」
 エメラルドのひとみをキラリと光らせ、サカエくんは早口言葉のように言った。
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