宇宙で、推しとウエディング!?
「……ッハ! 急がなきゃ!」
「ああ。ポピーは最上階の、一番奥の部屋に向かっている」
 わたしは研究所のトビラをぶつかるようにして開くと、たおれるように駆けこんだ。サカエくんも、ついてきてくれる。
 吹き抜けの玄関ホール、ホコリが被ったシャンデリア。
 数え切れないほどの部屋の数に、何も生けられていない古ぼけた花瓶。
 そして、らせん状の階段がぐるぐると上まで続いていた。
 その階段を、いきおいよく駆け上がっていく。
 上にあがっていくと、カラフルで、大きなガラス窓が見えてきた。
 それは、松の木とマツボックリ。
 そして、美しい青空を描いた、ステンドグラスの窓だった。
「ステンドグラス! すごくきれい……」
「地球では、そう言うのか。惑星ブロッサムでは、プリムグラスというんだ」
「それも、ステキな名前! ……わ! 早くポピーを追いかけないと!」
「お前は、のんびり屋なのか、せっかちなのか、わかりづらいな」
 わたしは全速力で、らせん階段を駆け上がっていく。
 途中から、もうまどろっこしくなっちゃって、ピョン、ピョンと一段飛ばしで登り始めた。
「あぶないぞ、シュリ」
 もうなりふりかまってられない、なんて思ってたけど、サカエくんがわたしのこと心配してくれるのが嬉しくて、すぐに一段飛ばしは、止めた。
 急ぎながら、気を付けながら、一歩一歩進んで行く。
 よおし! あと、一段で最上階だ。
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