宇宙で、推しとウエディング!?
つん、と指先が、固いものにふれた。
カラダをなかの荷物にすべりこませ、なんとかして取り出してみる。
だいぶホコリをかぶっていた。
パッパッと、それをはらってやる。
「何だろう……?」
わたしがクロゼットの奥から見つけたもの。
それは、真っ白な箱だった。
「それ、は……」
ポピーは驚きの声とともに、カツカツと高いパンプスを鳴らし、こちらへ歩いてくる。
わたしの横から、サカエくんが白い箱をのぞきこんだ。
「これが、ポピーの言っていたモノなのか?」
「おそらく、そうだと思います」
「……開けて、いい?」
わたしの言葉に、ポピーはゆっくりとうなずいた。
わたしもうなずき返し、ゆっくりと、フタをとり上げた。
なかを確認すると、真っ白い箱のなかには、たしかに、星形のモノが入っていた。
「星だ。でもこれ、なんの星なの?」
「アンドロイドの補助パーツです。私を作った、夏野シエスタ博士が、私の誕生日祝いに、用意してくれていたモノなんです」
「でも、なんでこんなところに?」
「私の誕生日当日に、シエスタ博士が……亡くなってしまったためです。ここにくると、博士のことを思い出してしまって……なかなか来れなくて。だから、その星型パーツは、ずっとここに眠ったままだったのです」
「だから、勝負の場所はここにしたの……?」
「はい。利用したみたいになってしまって、ごめんなさい」
気にしないで、とわたしは首をふった。
ポピーは、安心したように、また小さくうなずいた。
「でも、いざ来てみると、この研究所に住んでいた時の記憶を、ほとんど忘れてしまっていました。博士が”誕生日当日にあげるから、ここに隠しておく”と、言って笑っていた、箱に入った星パーツの場所も……忘れてしまっていたし」
「じゃあさ! さっそく、新しいのに変えようよ! これで、ポピーの大切な記憶もなくならないんでしょ?」
「でも……もういいんです」
はじめて聞く、ポピーの悲しそうな声だった。
「…え?」
「このまま稼働し続けていれば、博士のことを忘れられます。なので、もうこのままでいたいと思います」
「な、なんで? そんなの、ダメだよ!」
「いいんです。……ごめんなさい。少し、一人にしてもらませんか?」
そう言って、ポピーは部屋を飛び出して行ってしまった。
カラダをなかの荷物にすべりこませ、なんとかして取り出してみる。
だいぶホコリをかぶっていた。
パッパッと、それをはらってやる。
「何だろう……?」
わたしがクロゼットの奥から見つけたもの。
それは、真っ白な箱だった。
「それ、は……」
ポピーは驚きの声とともに、カツカツと高いパンプスを鳴らし、こちらへ歩いてくる。
わたしの横から、サカエくんが白い箱をのぞきこんだ。
「これが、ポピーの言っていたモノなのか?」
「おそらく、そうだと思います」
「……開けて、いい?」
わたしの言葉に、ポピーはゆっくりとうなずいた。
わたしもうなずき返し、ゆっくりと、フタをとり上げた。
なかを確認すると、真っ白い箱のなかには、たしかに、星形のモノが入っていた。
「星だ。でもこれ、なんの星なの?」
「アンドロイドの補助パーツです。私を作った、夏野シエスタ博士が、私の誕生日祝いに、用意してくれていたモノなんです」
「でも、なんでこんなところに?」
「私の誕生日当日に、シエスタ博士が……亡くなってしまったためです。ここにくると、博士のことを思い出してしまって……なかなか来れなくて。だから、その星型パーツは、ずっとここに眠ったままだったのです」
「だから、勝負の場所はここにしたの……?」
「はい。利用したみたいになってしまって、ごめんなさい」
気にしないで、とわたしは首をふった。
ポピーは、安心したように、また小さくうなずいた。
「でも、いざ来てみると、この研究所に住んでいた時の記憶を、ほとんど忘れてしまっていました。博士が”誕生日当日にあげるから、ここに隠しておく”と、言って笑っていた、箱に入った星パーツの場所も……忘れてしまっていたし」
「じゃあさ! さっそく、新しいのに変えようよ! これで、ポピーの大切な記憶もなくならないんでしょ?」
「でも……もういいんです」
はじめて聞く、ポピーの悲しそうな声だった。
「…え?」
「このまま稼働し続けていれば、博士のことを忘れられます。なので、もうこのままでいたいと思います」
「な、なんで? そんなの、ダメだよ!」
「いいんです。……ごめんなさい。少し、一人にしてもらませんか?」
そう言って、ポピーは部屋を飛び出して行ってしまった。