街角ファンタジーボックス

７． 想い出通商店街

　駅前から何軒も店が並んでいる。　人々は想い出通商店街と呼んでいる。
肉屋さん　魚屋さん　八百屋さん　米屋さん　乾物屋さん　総菜屋さん　煙草屋さん、、、。
そして文房具屋さんに床屋さん、駄菓子屋さんに靴屋さんまで。
　売ってないのは洋服くらいのもので何か有ればこの商店街で事足りるんだという。
戦争が終わって誰もが意気消沈していたあの頃、肉屋の親父さんが「こんなんじゃダメだ。」って言って行商を始めたのが最初だった。
　もちろん加わる人も居れば去っていく人も居た。
布団屋さんだって３０年くらいは頑張ってたんだよ。　やりきれなくなって逃げだしたらしいけど。
　「空き店舗が在る。」って言われて飛び込んできた麻雀屋さんも居た。
でも景気が悪くなるとさっさと退いてしまったね。
　米屋の大将は商店会の会長さんだ。　ずいぶんとしわくちゃになったけど今でも元気に走り回っている。
「食って喋って歩けるうちが花だ！」ってね。
　この人は今でもオート三輪を乗り回している。　米袋を抱えて走り回ってる。
空き店舗もまだまだ有るから電気屋を引っ張り込みたいって言ってたっけ。
　汽車が着くたびに人が降りてくる。　そりゃ２０年前よりは人も減ったよ。
でもまだまだ商店街は元気だ。
　お盆の頃と年末には毎年恒例の大安売りもやるんだぜ。
一度は寄ってくれよ。