街角ファンタジーボックス
    9. 銭湯
 「おばちゃん 今夜も来たよ。」 元気な声が聞こえる。
「誰かと思ったら義男さんかい。 まあゆっくり入っていきな。」
 ここは商店街の外れに在る古い銭湯 青山の湯。
入り口は二つ有る。 左は男湯で右が女湯だ。
 番台にはいつも賑やかなおばちゃんが居て算盤を弾きながら客と話をしている。
おばちゃんが風呂に湯を入れるのはいつも3時ごろ。
 4時を過ぎると一番風呂を楽しみにしているじいさんやばあさんたちがあっちこっちから集まってくる。
そして番台を挟んでやいのやいのと盛り上がるのである。
 つい40年前まではまだまだ石風呂だった。
それが時代の流れなのかタイル風呂に変わった。
 あの頃、赤ん坊だった人たちはいつの間にかおじさんおばさんになってしまった。
そしてその子供たちはこの町を離れていった。
 「今日もいい風呂だったよ。」 「そうかいそうかい。」
おじさんは冷蔵庫からコーヒー牛乳を取り出すとおばちゃんに金を渡して美味そうに飲み干した。
「また来るよ。」 「また入るのかい?」
「そうだなあ。 二度風呂もいいなあ。」
「のぼせてまうで。 あんた。」
「あんたが誘ったんやろうが。」
「何言うてん? あんたがまた来る言うから誘うたんや。」
 今日も漫才のような落語のような掛け合いをしながらこの町の銭湯は賑わうのであります。
寒い冬の銭湯は本当にいいもんだねえ。
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