街角ファンタジーボックス
 チリ紙交換車が走ってきた。
反対側からは竿竹売りが来ている。
 隣近所のおばちゃんたちが話しながら買い物に行く。
小学校のチャイムが聞こえる。
 賑やかにグラウンドで走り回る子供たちの声が聞こえる。
夕方になればまたまた疲れ切ったお父さんたちが駅から出てくる。
 そしてホンワカする看板に癒されて我が家に帰ってくるんだ。
今日も真っ赤な夕日が沈んでいく。
誰も何も遮らない山の向こうに。

 時々は夕立だって降ってくる。 雷様だって落ちてくる。
雨のあの懐かしいにおいがする。
 「子供たちを迎えに行こうか。」
お母さんは蛇の目傘を開いて小学校へ。
 水溜まりを跳ねながら嬉しそうに歩いていく子供たち。
家に帰れば駄菓子屋で買ってきたお菓子が待っている。
 「雨が降ってるんじゃ遊びに行けないね。」 お母さんも寂しそう。
時々黒電話が鳴る。 おばちゃんかな?
 お母さんは洗濯やら買い物やらで走り回っている。
いつもいつもありがとう。
 思い出したように卓袱台の前に座り込む。
そしたらお喋りに来た近所のおばちゃんと煎餅を食べながらお茶を飲む。
 そしてケーキの包みに目をやるんだ。
プロポーズされたあの日みたいにね。
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