街角ファンタジーボックス
 夜になると客は居なくなる。 電車もドアは開けるけど降りる人も居ない。
「時間良し。 ドア閉めろ。」 最後の笛を吹いて電車が行ってしまうと駅も真っ暗になる。
 でもいつでも誰でもホームに入ることは出来るから駅に寝泊まりしに来る人たちが居る。
ホームや待合室のベンチに寝転がってどんな夢を見ているんだか、、、?
 雨の日にはみんな揃って待合室に居る。
暗い部屋で酒でも飲みながら苦労話を聞かせてくれるらしい。
 朝一番は貨物列車。
暗闇の中からヘッドライトが近付いてきて機関車の轟音が響く。
 そうするとこの駅も俄かに動き始めるから泊り客も居場所を求めて出ていくんだ。
「また来てたんだな。」 素っ気ない顔で駅員がゴミを片付ける。
 事務所の窓を開けたら今日も仕事開始だ。
いつもと同じ顔がここに並ぶんだろうなあ。
 静かな景色の中で列車が離れていく音って何とも癒されるよなあ。
それこそレールに耳を当ててずっと聞いていたいかも。
 一方では新幹線が走り、一方ではディーゼルカーがノロノロと走っている。
また一方では蒸気機関車が黒い煙を吐きながら元気に走っている。
 夜ともなれば寝台特急や夜行急行が走っている。
どんな夢を見ながら揺られているんだろう?
 目が覚めたら東京だ。
みんないろんな夢を抱えてたよね。
 今日も改札口ではパチンパチンと音がする。
切符を切って人々を送り出す駅員さんたち。
ずっと元気でね。
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