ダイニングに洋書を飾る理由 - 厳しすぎる室長が、やたら甘い
 月曜の朝。
 デスクに座り、前週分の契約進捗と請求書処理の確認をしていた。

 ベンダーからの返信はまだ届いておらず、
 スケジュール表の中で“対応待ち”の赤字だけが整然と並んでいる。

 これが、私の仕事だ。

 ミスは許されないけれど、華やかでもない。
 “うまくいった”より、“何も問題が起きなかった”の方が評価される。
 大声で褒められることも、名前が前に出ることもない。

 けれど。
 この前、彼の話を聞いて、少しだけ心が揺れた。

「既存の枠の中で戦っていても、未来は作れない」
「だから、自分の手で、新しい場を作ったんだ」

 あの言葉。あの目。
 さらりと話していたけれど、あれは簡単なことじゃない。

 反発を受けることも、失敗するかもしれないことも、全部わかっていて――
 それでも動いた人。

 ああ、この人は、
 私とは、別の風景を見ている。

 そう思ったとき、ちょっとだけ悔しかった。
 でも、それ以上に……誇らしかった。

 私のやるべきことは、たぶん今も変わらない。

 でも、支えたいと思える人がいるだけで、見える景色は少し変わった気がした。
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