次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「もう! 見えないところで立ってて、って言ったじゃないですか!」
「立ってましたよ?」
「でも乱入してきたじゃない……。私でもどうにかなったのに」

 彼に守ってもらってばかりなのは嫌だ。それに、曲がりなりにもホテルマンとしての歴は長い。コンシェルジュとして、適切な振る舞いはしているつもりだ。
 もし、あれ以上のことがあれば、私だって上手く躱す予定だったけれど、その前に達成さんが乱入してきたから、ちょっとだけ面白くない。

 私だって、ちゃんとやれるのに。

「そうですね。この前、僕が言ったことは忠実に守ってくれたようだ」
「へ?」

 肩についた髪をするりとすくい上げられ、後ろに流される。
 深夜で誰もいないとはいえ、こんなところで触られるとは思ってもみなかった。思わず、足が止まる。

「あなたは僕の恋人だ。だから誰にも触れさせないで、と言ったでしょう?」
「……っ」
「もし、あのまま触らせていたら、何をしていたか分からない……」

 髪を梳くついでとばかりに耳たぶの裏を撫でられてぞわりとする。
 立っていられなくなって、膝がかくんと崩れた。
< 103 / 150 >

この作品をシェア

pagetop