次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
 スタッフであるが故に、ホテルのサービスを受けられないことはよくある。一般の客として利用しないこともなくはないけれど、休日まで赴くのはスタッフにいらぬ気を使わせてしまいそうで、私はあまりプライベートで利用したことがない。
 新人の頃と、それこそ結婚式の件でこれから利用しようと思っていた程度だ。
 だから、こんなにもホテルで出されるパンがおいしいとは思わなかった。

「今度、創立記念パーティーでもパン系の料理を多めに出したくて、いろいろ調理部と詰めていたんだ」

 パーティーは立食形式だ。だから、パンは食べやすくて需要もあるだろう。
 既にメニューは決まっており、試作もできているものの、細かい調整はまだまだやらねばならないと、この前の会議でも言っていた。
 自分が食べるわけでもないのに、素直に楽しみだと思う。訪れたお客様に楽しんでもらえたら、なによりだ。

「そう言えば、もうすぐパーティーだね」

 パーティーまで一ヶ月を切っている。
 それもあって私も忙しいわけだけど、達成さんはその比ではなさそうだった。
< 111 / 150 >

この作品をシェア

pagetop