次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「やることが多くて大変そうだけど……何か手伝えることがあったら言ってね」
「ありがとう。でも大丈夫だよ。それよりも俺は柚希が心配」
「私……?」
「いまだにスタッフからの風当たりが強いだろう?」
「そんなことは……」

 紫苑寺さんが来てから、スタッフからの嫌がらせや風当たりも和らいだ。ただ、減った代わりに紫苑寺さんからの鋭い視線が飛んでくるようになったけど。

「あっ、私、そろそろ行かなきゃ……!」

 部屋に掛けてあった時計を見て、そろそろシフトに戻らねばならない時間であることに気付く。
 私はコーヒーを飲み干すと、ジャケットを羽織った。

「それじゃあ、ごちそうさまでした。いろいろありがとうございます」

 バタバタと食器をキッチンの奥に下げ、急いで扉へ向かう。達成さんも同じようについてくると、柚希、と私の名前を呼んだ。

「じゃあ、また。連絡するから」
「うん」

 ちゅっ、と音を立てて唇にキスされる。
 私はいまだ慣れないキスに戸惑いながらも彼の部屋を後にした。
< 112 / 150 >

この作品をシェア

pagetop