次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています


 それから約束の日まで、瞬きの速さだった。

 仕事をこなし、早めに終わった日は街へ出かけて、雑貨屋で可愛い食器やソファーカバーを探す。

 人を部屋に入れるのは久しぶりだった。
 前の彼とは同棲こそしていなかったものの、私が彼の部屋に通っていたから、あまり上げてこなかった。
 でも、いま思うと彼は私を部屋に上げることを渋っていた。外で会うことが多く、最後の方は家に上げてくれることもほとんどなかった。

 いつも仕事終わりの合間に会っていたし、休みが被るときは結婚式の準備と称して指輪を見に行ったり、いろんな下見をしに行っていたから、外で会うことを不思議に思っていなかった。

 でも今考えると、私と別れる直前ぐらいで、浮気相手を家に上げていたんだろうなと思う。
 私が最初、付き合ったときがそうだったから。
 彼からは頻繁に家に誘われた。それもいま思うと、下心ありきな気がして釈然としない。

「ダメダメ! 変なこと考えるのは終わり!」

 私は気合をいれると、キッチンの前で腕まくりをした。
 今日、達成さんが夕方から私の家にやってくる。
 ランチを、とも思ったけれど、万が一失敗したときのことを思って夜にしてもらった。
 昼から少しずつ仕込めば十分、間に合うし、仮に失敗しても作り直せる。

 私は早速食材を切ると、普段通りに調理を始めた。
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