次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「これは……?」
「手土産だよ。オススメのパティスリーで買ってきた」

 彼から紙袋を受け取る。見たことのある名前に私はパッと顔を上げた。

「これ、私がオススメで送ったカフェの……」
「ケーキのみの販売もあるって書いてあったし、評価もよかったから。俺も食べてみたかったし」

 わざわざ、家に来る途中で買ってきてくれたらしい。
 それに、元々気になっていたところのケーキだ。嬉しくないわけがなかった。

「嬉しい。……あっ、部屋にどうぞ。そんなに広くないけど」
「お邪魔します」

 玄関を閉め、彼が狭い部屋の中に入ってくる。いつも広すぎる部屋で生活しているのを知っているから、彼がこの部屋に入ってくると余計に自分の部屋が狭く感じた。
 単身者用の部屋だから、なおのこと窮屈に感じる。

「そんなに広くなくて申し訳ないんだけど……。ここに座ってて」

 1DKの部屋だから、キッチンと部屋が分かれてはいるものの、キッチンスペースにはダイニングテーブルをおくほどの広さはない。キッチンを抜けた先の部屋は必然的に寝室を兼ねており、ベッドもテレビもテーブルもすべて一緒の空間にあった。
 ラグを引いた上にクッションを起き、彼をローテーブルの前に座らせる。

 こうして彼を座らせると、やっぱりちぐはぐでおかしく思えた。
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