次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
10 最後の試練
 彼が私の部屋に来てからの一週間。

 私は――というより、ロイヤル・ローズ東京は、創立記念パーティーを来週に控え、いつも以上に緊張感が漂っていた。
 プログラムの最終確認から、会場の調整、人員流動のシミュレーションなど、係りに当たるスタッフたちは通常業務に加えて、慌ただしく過ごしている。

 それは私も達成さんも例外ではなく、彼と顔を合わせるのは気恥ずかしいかも……と最初は思っていたけれど、そもそも二人きりで会う時間がなかった。

「宮園さん、当日の受付シミュレーションをお願い」
「分かりました」

 ひとつ返事で仕事を引き受けると、私は先輩から手渡されたプログラムを確認しながら、即席の受付カウンターの中に入った。

 当日はロビーで参加予定の来賓客にチケットを渡し、パーティー会場に入る前のカウンターでそのチケットを預かる。
 創立記念パーティーはホテル運営に関わる企業やお得意様に対して行われるもので、既にリストには錚々たるメンバーの名前が連ねられていた。

 そのリストをパソコンで確認しながら、紫苑寺の名前を見つけて手が止まる。
 紫苑寺の名前を聞いたことがなかったけれど、どうやら海外のホテル関係で業績を伸ばしている会社らしい。企業名の欄と本社所在地の欄を見れば分かる。
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