次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています


『昨日はありがとうございました。柚希のおかげで、体調も戻りました』

 そんなメッセージを最後に、私は彼からの連絡をすべて無視した。

 忙しいのももちろんあるけれど、こうして連絡を断てば、彼との繋がりも薄れていくはず。そんなふうに思って、私は職場でもなるべく彼と鉢合わせないように調整していた。

「宮園さん! 会場の最終チェックをお願い」
「はい、ただいま!」

 彼とのことを忘れるようにきびきびと働き、自ら率先して仕事を詰め込む。
 彼も最終チェックで会場に足を運んでいるのは把握済みで、私はわざと彼の視界に入らないよう距離をとってチェックをしていた。
 だけど、背中に視線は感じる。彼だって鈍感ではない。私がわざと避けていることに彼も気付いているだろう。罪悪感こそ募ったけれど、私はその視線をすべて無視した。

「チェック終わりました。テーブルの花が一つ萎れていたので、明日の朝、別のものを手配してください」
「ありがとうございます」

 チェック結果を共有し、依頼してきたスタッフにチェックリストを渡す。
 これで私の仕事は終わりだ。あとは当日、会場の見守りをするのみ。

 仕事をやりきったことを誇らしく思いながら会場を出ると、彼が入り口近くで腕を組み立っていた。
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