次期ホテル王として戻ってきたイジワル幼馴染に溺愛されています
「……ねぇ、たっちゃん。私たち、やっぱり仮の恋人でいるの、やめたほうがいいと思う」
「は……?」
「だって、もうフィアンセがいるじゃない。元々、そういった話が来ないように、ってことだったけど、私なんかじゃ抑止にならないし……」

 仮の恋人だとしても彼の側にいたい。でも、役目を果たせない以上、彼にとって私は不要な存在だ。

「……いいえ、このまま続けてもらいます」
「え?」
「勝手に職務を放棄することは許さない」

 ぎゅうっと体を抱かれ、胸に頭を押し付けられる。絶対に認めない、と上から声が降ってきた。

「むしろ、いまこそあなたが必要です。僕の恋人としても、そしてスタッフとしても」

 そっと体が離される。
 達成さんはテーブルの上に置いていたティーセットをトレイに載せると、ソファーから立ち上がった。

「引き止めてすみませんでした。帰り、お気をつけて」

 プライベートの時間は終わりらしい。さっと線引きされると、何も言えなくなる。
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