愛とプライドとバベルの塔

そして、その次の週から、わたしは辞令通りに西店のHF、ダイニング担当として異動となった。

わたしが異動になる前、口下手な三谷さんは3〜4人分くらいある菓子折りを「短い間でしたけど、ありがとうございました。」と照れくさそうに渡してくれて嬉しかったのだが、、、

「お、大きいですね。」

と菓子折りの箱の大きさに笑いながらも、わたしは「ありがとうございます。」とお礼を言った。

それから阿久津さんとはLINE交換をし、「今度ご飯でも行かない?」と誘ってくれたのだった。

これからは、西店のHFかぁ、、、
しかもダイニング担当、、、

わたしはその事にとても抵抗があった。

そう思いながら、初出勤した日のことだった。

西店のHFの山田主任にダイニング売場を案内してもらった時、売場を見てわたしは目眩がしてきてしまった。

あれ?目の前が、、、

と思っている間にわたしは倒れ、意識を失って居たのだった。

そして目が覚めた時には、ぼんやりと天井に蛍光、それから左側に点滴が見え、自分が病院にいることに気付く。

「あ、気付かれました?ここ、どこだか分かりますか?」
「、、、病院です。」
「お名前言えます?」
「、、、小田桐、栞菜です。」
「はい、ありがとうございます。」

わたしは頭を打ったようで、脳に問題がないかの簡単な検査とMRI撮影もしたが異常はなく、その日の内に自宅に帰ることが出来たのだが、病院でわたしを待っていてくれたのは阿久津さんだった。

「あ、阿久津さん、、、」
「大丈夫?!ビックリしたよ、倒れたって聞いて。心配で飛んで来ちゃった。」

阿久津さんはそう言うと、恥ずかしそうに微かに微笑んだ。

< 33 / 38 >

この作品をシェア

pagetop