愛とプライドとバベルの塔
「だから、小田桐さん。君にはかなり頑張ってもらわなくちゃいけなくなる。」
「、、、そうみたいですね。」
「今はサイクルが忙しい時期でね、三谷くんと阿久津くんはそれぞれ社用スマホを持ち歩いてるけど、接客で出れないことの方が多い。そうゆう時は、HFの誰かに訊いて。HDの仕事を全く分からないわけではないから。」
「分かりました。じゃあ、さっき阿久津さんがここに居られたのは、偶然というか、、、奇跡に近いんですか?」
わたしがそう訊くと、竹内主任はハハッと笑いながら「そうだね!」と言った。
竹内主任って高身長でまぁ、そこそこイケメンだし、良い人そうではあるけど、主任として大丈夫なのかな?
わたしがそう不安に思っていると、竹内主任は「じゃあ、南田さん。まず、小田桐さんにレジから教えてあげてくれる?」と言った。
すると南田さんは満面の笑みで「はい、任せてください!」と言い、それからわたしに「ゆっくり覚えていこうね!焦らなくていいから!」と言ってくれた。
その言葉を聞き、部署は違うけど良い人そうで良かった。
と、そう思ったことを私はあとから後悔することなるだなんて、この時は思いもしなかった。
「じゃあ、よろしく!」
そう言って、竹内主任は文房具売場の方へ歩いて行き、文房具棚のすぐそばにある関係者以外立入禁止の重たい扉から、バックルームへと消えて行った。
すると、竹内主任が居なくなった途端、あんなにニコニコしていた南田さんの表現が一変し、「高井さーん。」とレジカウンターの目の前にある寝具売場の方に向かって声を掛けた。
その南田さんの声に「はーい。」と奥の方から駆け足で姿を現したのは、年配で眼鏡を掛けた優しい雰囲気のおばさんだった。
「高井さん、HDの新人さん。小田桐さん。」
さっき竹内主任が居た時とは打って変わって態度が豹変した南田さんは、怠そうにわたしのことを紹介した。
「初めまして、小田桐です。宜しくお願いします。」
そう言ってわたしが一礼すると、高井さんは優しい表情で「HFの高井です。よろしくお願いします。」と言ってくれた。