斑くんの激重愛に抗うためには


「斑くん、早く準備しないと電車遅れちゃいますよ」



 キッチンに食パンの袋を見つけたので一切れ取り出しておく。後で食べてもらおうっと。

 どうやらトースターはないみたい……と焼くのを諦めて振り返ろうとしたとき。


 バンッ! と目の前のカウンターに斑くんの手が叩き付けられた。

 背後から圧力を感じる。



「なんのつもりだ」

「斑くんが焚き付けたんじゃないですか。私達、今喧嘩中なんです。で、嫌がらせしに来ました」



 喧嘩って避けたり暴言吐いたりするんだろうけど、私はそんなのしたくない。

 これまで他の友達としてきた喧嘩は、次の日に私が忘れちゃってて普通に話しかけるから、日を跨いですることはなかった。


 これが私なりの喧嘩なのだ。

 しかも、初めて長期的な喧嘩に挑んでいる。

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