斑くんの激重愛に抗うためには
我ながら、どの方面にも配慮した良い回答だと思ったのに。
斑くんはムッと不機嫌そうになってしまう。
「泊まっていけばいいだろ」
「ダメなの。家族団らん命令が下されてるので」
きっぱり断ると、「チッ」と舌打ちが聞こえた。
家族裁判で斑くんを無罪にしたんだから許してよ。代わりに私が有罪になったからこうなったんだけどさ。
「時間がもったいない。早く入れ」
部屋へ引き込んでくる強引なところは相変わらず。
変わってるようで、変わってない。逆もしかり。
慣れるとこれが心地良いんだ。言葉の裏を読むのも飽きないしね。
「……私とちょっとでも長く一緒にいたいんだね?」
斑くんの顔を下から覗き込む。
あのときのしおらしさは影もない。冷ややかな目線を向けてくるだけ。