斑くんの激重愛に抗うためには

 すっかり見慣れた廊下を足早に通る。

 お風呂、トイレ、寝室、リビング──恥ずかしくて甘い思い出がたくさんある場所。


 斑くんが私を連れて入った場所は、寝室だった。

 何度も一緒に寝たから、私の匂いが付いちゃってるかも。



「……ご飯じゃないの?」

「うるさい。したいことさせろ」



 ぽすん、と押し倒されるんじゃなく、ベッドに座らされた。

 目線の高さが揃う。あっという間にゼロ距離。



「ん……っ」



 乱暴な、深くて熱いキス。

 舌が私をねじ伏せるみたいに絡み付いてくる。



「俺は今でも、変わらず小鳩を閉じ込めてやりたいんだからな……」



 唇が離れても距離はそのまま。

 斑くんの掠れた声が体に響く。



「他のやつに笑いかけるのも、気が狂いそうになるってのに……」



 支配的な瞳に撃ち抜かれ、心臓が鷲掴まれた。

 私はこの人から逃げられないんだ、って悟る。

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