隣の部署の佐藤さんには秘密がある
28.ファッションショー
私はファッションショーが始まっても中々顔を上げることができなかった。サンチェス=ドマーニのショーだから少しも見逃したくないのに、モデルが佐藤さんかもしれないと思うと緊張してしまう。私はモデルが登場するたびに恐る恐る顔を上げて佐藤さんではないか確認していた。
「さきちゃん、次だよ。」
あかねさんに言われて緊張がピークに達する。私は胸の前で両手を組んで目を瞑った。すると、音楽が変わり歓声が上がった。顔を上げると赤いスーツを纏った佐藤さんが、颯爽とランウェイを歩いている。あれぞまさに佐藤さんの真の姿と言えよう。目を潤ませて見ていると、あかねさんがくすくす笑い出した。
「さきちゃんを探してるみたい。見つけられるかしらね。ふふ。」
こんなにたくさんの人がいる中から見つけられるはずがないと思いながらも、ちょっとだけ見つけて欲しいと思っている自分がいる。別れたなんて言っておきながら欲張りだ。
隣で見ているあかねさんは楽しそうにショーを眺めている。その横にいる私は手が震えていた。もはやこれがなんのドキドキなのかわからない。再び佐藤さんが登場すると、会場がどよめきで揺れた。佐藤さんが着ているのは可愛いくまのパジャマだ。
「わぁぁぁぁ……」
佐藤さんは水伊勢という強力なコネクションがあるから持っているが、あれは海外限定だった。しかしこのレセプションのファッションショーでモデルである佐藤さんが着ているということは、つまり!日本のショップで普通に販売されるということだ!
「あかねさん、あれもショップに出るということですよね?」
「そうだと思うわよ。以前は海外限定だったものね。」
「そうなんです!でも佐藤さんは持ってるんですよ。おじいちゃんのお土産と言っていましたから、あれは相談役に買ってもらったということですよね?ずるいですよ、コネを使ってそんな……」
黄色い歓声が聞こえてきて前を向くと、佐藤さんは眩しい笑顔で観客に向けて手を振っていた。さすがモデル。着用する服に合わせてあんなこともできるのかと感心していたが、隣のあかねさんは堪えきれないとばかりにお腹を抱えて笑っている。
「そういうことだったのね。あれは、さきちゃんを探すためだったみたい。さきちゃん、次は青を着てくるはずよ。見てて。」
あかねさんが言った通り佐藤さんは青いスーツで現れた。私は思わず自分の服を見下ろした。佐藤さんのスーツはあかねさんに選んでもらったドレスとお揃いだ。
「あー、気合い入りすぎ。迷惑迷惑。」
佐藤さんはモデルの域を越え始めた。前方にいる女性陣の足元がおぼつかなくなっている。あれはまともに見てはいけないやつだ。KOTAには見慣れたと思っていたが本物は違うらしい。こんなところで催眠にかかっては大変だ。私は身の危険を感じて目を瞑った。
佐藤さんがまだ好きでいてくれることは嬉しいし、私も一緒にいたいと思う。でも、佐藤さんの彼女は水伊勢家の御曹司の彼女であり、モデルKOTAの彼女。顔面偏差値とは無縁なずんぐりむっくりな平民の私とでは釣り合わない。それに、あの怖い佐藤さんのお父さんに反抗してまで一緒いられるのかと思うと自信がない。
(諦めるしかないよね……)
サンチェス=ドマーニを着こなしてファッションショーに出ている佐藤さんはとても遠かった。
「さきちゃん、次だよ。」
あかねさんに言われて緊張がピークに達する。私は胸の前で両手を組んで目を瞑った。すると、音楽が変わり歓声が上がった。顔を上げると赤いスーツを纏った佐藤さんが、颯爽とランウェイを歩いている。あれぞまさに佐藤さんの真の姿と言えよう。目を潤ませて見ていると、あかねさんがくすくす笑い出した。
「さきちゃんを探してるみたい。見つけられるかしらね。ふふ。」
こんなにたくさんの人がいる中から見つけられるはずがないと思いながらも、ちょっとだけ見つけて欲しいと思っている自分がいる。別れたなんて言っておきながら欲張りだ。
隣で見ているあかねさんは楽しそうにショーを眺めている。その横にいる私は手が震えていた。もはやこれがなんのドキドキなのかわからない。再び佐藤さんが登場すると、会場がどよめきで揺れた。佐藤さんが着ているのは可愛いくまのパジャマだ。
「わぁぁぁぁ……」
佐藤さんは水伊勢という強力なコネクションがあるから持っているが、あれは海外限定だった。しかしこのレセプションのファッションショーでモデルである佐藤さんが着ているということは、つまり!日本のショップで普通に販売されるということだ!
「あかねさん、あれもショップに出るということですよね?」
「そうだと思うわよ。以前は海外限定だったものね。」
「そうなんです!でも佐藤さんは持ってるんですよ。おじいちゃんのお土産と言っていましたから、あれは相談役に買ってもらったということですよね?ずるいですよ、コネを使ってそんな……」
黄色い歓声が聞こえてきて前を向くと、佐藤さんは眩しい笑顔で観客に向けて手を振っていた。さすがモデル。着用する服に合わせてあんなこともできるのかと感心していたが、隣のあかねさんは堪えきれないとばかりにお腹を抱えて笑っている。
「そういうことだったのね。あれは、さきちゃんを探すためだったみたい。さきちゃん、次は青を着てくるはずよ。見てて。」
あかねさんが言った通り佐藤さんは青いスーツで現れた。私は思わず自分の服を見下ろした。佐藤さんのスーツはあかねさんに選んでもらったドレスとお揃いだ。
「あー、気合い入りすぎ。迷惑迷惑。」
佐藤さんはモデルの域を越え始めた。前方にいる女性陣の足元がおぼつかなくなっている。あれはまともに見てはいけないやつだ。KOTAには見慣れたと思っていたが本物は違うらしい。こんなところで催眠にかかっては大変だ。私は身の危険を感じて目を瞑った。
佐藤さんがまだ好きでいてくれることは嬉しいし、私も一緒にいたいと思う。でも、佐藤さんの彼女は水伊勢家の御曹司の彼女であり、モデルKOTAの彼女。顔面偏差値とは無縁なずんぐりむっくりな平民の私とでは釣り合わない。それに、あの怖い佐藤さんのお父さんに反抗してまで一緒いられるのかと思うと自信がない。
(諦めるしかないよね……)
サンチェス=ドマーニを着こなしてファッションショーに出ている佐藤さんはとても遠かった。