隣の部署の佐藤さんには秘密がある
「なんであんなに可愛いんだろう、俺のさきは。ふふふ。」
軽くスキップしていた足はマンションの前でピタリと止まった。目の前に黒服の男が立っている。先ほどまでの浮かれた気分は風と共に消え去ってしまった。
「磯山さん、何の用?こんな時間に。」
「会長がお呼びでございます。晃太様にご依頼したい仕事があるそうです。」
今さら自分に何をしろと言うのだろうか。
「俺は戻らない。兄さんに頼めばいい。」
「この件に関しまして、相談役からご伝言を仰せつかっております。」
「じぃちゃんも俺にやれって言うの!?」
祖父だけは自分の見方だと思っていた。いよいよ祖父にも見放されてしまったのだろうか。
「『来ないとレセプションのチケットあげないよ』だそうでございます。」
晃太と磯山の間を冷たい風が吹き抜けた。高校を卒業して以来、家には帰っていない。今さら自分にできる仕事なんてない。家に戻ってもみじめな思いをするだけ。祖父に何を言われても応じるつもりは──
「いつ行けばいいの?」
「土曜の朝、お迎えにあがります。」
磯山はにっこりと微笑んだ。
軽くスキップしていた足はマンションの前でピタリと止まった。目の前に黒服の男が立っている。先ほどまでの浮かれた気分は風と共に消え去ってしまった。
「磯山さん、何の用?こんな時間に。」
「会長がお呼びでございます。晃太様にご依頼したい仕事があるそうです。」
今さら自分に何をしろと言うのだろうか。
「俺は戻らない。兄さんに頼めばいい。」
「この件に関しまして、相談役からご伝言を仰せつかっております。」
「じぃちゃんも俺にやれって言うの!?」
祖父だけは自分の見方だと思っていた。いよいよ祖父にも見放されてしまったのだろうか。
「『来ないとレセプションのチケットあげないよ』だそうでございます。」
晃太と磯山の間を冷たい風が吹き抜けた。高校を卒業して以来、家には帰っていない。今さら自分にできる仕事なんてない。家に戻ってもみじめな思いをするだけ。祖父に何を言われても応じるつもりは──
「いつ行けばいいの?」
「土曜の朝、お迎えにあがります。」
磯山はにっこりと微笑んだ。