隣の部署の佐藤さんには秘密がある

14.撮影初日

 撮影初日。晃太がマンションを出ると磯山がやってきた。

「おはようございます、晃太様。」
「磯山さん、もしかして迎えに来てくれたの?」
「はい。あかね様のご指示でございます。」
「よかった〜!場所がよくわからなくて連絡しようと思ってんだ。」

 晃太は磯山が運転する車に乗って撮影場所へ到着した。海が見える公園はデートに最適な場所だ。晃太はさきとのデートを思い浮かべながら海を見つめた。

「晃太、おはよう!」
「おはよう、姉さん。磯山さんにお願いしてくれてありがとう。」
「車がないと移動は大変だからね。それにしても、晃太ってセンスいいのね!龍司とは大違い。」

 さすがにあのヘンテコな龍司の私服を下回ることはない。あれよりも変にする方が難しい。

「今日は撮影が終わり次第解散だから、早く終わらせてね。新人さん。」
「うわーパワハラー」
「うるさいわね。ここ夜になると寒いから、早めに終わりたいのよ。」
「夜かぁ。」
「夜景はすごく綺麗よ。早く終わらせて彼女とデートでもしたら?」

 晃太の顔は険しくなった。さきは病み上がりで、夜の海デートなんてできる状況ではない。

「彼女、インフルで休んでるから……」
「あら大変。大丈夫なの?」
「姉ちゃん、女の人が体調不良の時にして欲しいことってなに?」

「心配してくれると嬉しいんじゃない?会えなくても気にしてくれるってわかるし。」
「それでいいの?本当にそれだけ?」
「テキパキ看病してくれる彼氏が家に来てくれるのが一番嬉しいけど、晃太には無理でしょ?メッセージ送るのがちょうどいいわよ。」

 あかねの言葉にちょっとだけ傷つきながらも、晃太は今日もさきに連絡しようと心に決めて撮影を始めた。
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